作品『猫の瞳沈む泉』あとがき



私の場合、「風景」が其処に、つまり脳内にちゃんと存在しなけれ ば、それを文章にも出来ないという情けなさなのですが、ここに出 てくる「オーガスタスの泉」のイメージは、ずっとずっと以前から あったもので、どうにかして物語に出来ないかと…つまりはストー リーは後付けであった、という訳です。

ちなみに八月に書いていたので「オーガスタス」。 酷すぎる命名法(笑)。

ガゼボという建物がわかりにくいと思います。
良く、洋風庭園に、円い天井を乗せた、大理石等、石の建造物で、 時に中に美しい女性や天使の像がある、六本から八本程度の石柱 で囲まれたものをご覧になった事がありませんか? あれは何と 云う名称なのか、只の庭園の飾り物なのか、色々と検索して知る のは楽しかったです。

子供の頃私はとんでもない「おてんば」で、いつも男の子と一緒に 泥まみれになって遊んでいました。でも、ただ、女だからという理 由で仲間はずれにされる事って、あるんですよね。あの時の悔しさ。

泉の持っている本当の歴史、これにはあちこちに様々な皮肉を加え てみました。弱い父と、強くいたいと、そればかりを考えている娘。 どちらにも、どこか、歪んだ処があるように私には思えます。

この物語に、もし伝えたいものがあるとしたら、それは「女性って なんだろう」って事でしょう。でも、それを全く前面に出さなかっ たのは…出したくなかったんですね。出したら負け、のような(笑)。

ハイランドというのはスコットランドの北部地方を指します。 『嵐が丘』に描かれているのがハイランド特有の景色。

ドゥイ・ローモンドにはちょっと興味があったり(笑)。基本、続 編は書かない姿勢なんですが、彼の人生は書いてみたい気がします。





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