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『“連作・修羅” 外伝5・巴』UP(5th.Nov.2022)
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サイト名:moon in the dusk
管理人名:moon in the dusk(もしくは「宵月」)

Works' Short-Cut
Yoitsuki-Hiyori
4月3日
卯月。四月が来ると私はとりあえずホッとする。三月の雛祭り、春の御彼岸に加えて我が事でお恥ずかしながらの誕生日、を終えて、これで所謂年中行事が落ち着くからだ。でもこれから季節がどんどん変わってまた色々と忙しい事に変わりは無いのだけれども。桜も、今年も無事拝む事が出来た。けれども前に此処にも書いただろうか、染井吉野の寿命に加えての虫害、美事な大木がばっさばっさと伐採され、勿論苗木を植えはしてくれているのだけれど、あの威厳さえ漂う風情はもうどこにもない。木漏れ陽などなく、春のあたたかな光が川面全体をきらきら煌めかせている。ほんとうに、世の中諸行無常なのだなと思う。この川沿いには、ほんの一箇所だけ、夜店のような出店が出る。通ってみると、あったあったいか焼き。思い出す、ここではないけれど、我が町には、駅前の通りに、9のつく日だったか、夜店が出た。そこで飼っていた犬を連れて行ってみようという事になり、母や夫と一緒に意気揚々と出かけたのだけれど、さぁもう夜店はすぐそこ、という処で、ぺたん、とへたり込んでぴくりとも動かなくなった。拒否反応である。ぼくはそっちにはいかない、という強固たる意志表示。人が多く集まっているのが厭だったのか、いや多分あの妙な明るさが動物的な感覚と強烈に相容れないものがあったのだろう。どんなになだめすかしても絶対に動かない。「ほら、いか焼きやさん、あるよ、いか焼き買うたげるから、おいしいよ!」と言っても素知らぬ顔だ。仕方ないなぁ、とUターンすればそそそそと帰ろうとする、皆で苦笑い、大笑いだった。今でもいか焼きの屋台を見るとあの時の事を思い出す、もう、十年が一昔なら、二昔、三昔も前の事なのに、まるで昨日の事のように。若い苗木の桜を見ても、そんな想いがよぎる事など何も無い。大きな枝を伐り落とされて尚、幹からひとひらふたひらと花咲かせる老木に、想いを寄せる。




