moon in the dusk

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UP 『“連作・修羅” 外伝5・巴』UP(5th.Nov.2022)

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Works' Short-Cut



Yoitsuki-Hiyori

6月4日
水無月。
今日は少し趣向を変えて、今日、お誕生日の、ある人について書こうかと思っています。彼女とは、大学入学時に知り合いました。正直私とは何もかもが違うタイプ。どうして一番にお友達になれたのか不思議です。でも、随分あとになって彼女が「白状」してくれました。大学入学時、一泊二日のオリエンテーリングがあったのですが、その当日、私の乗った電車が、何の理由でだか数十分の遅れが出て、まぁこの電車に乗っている人だって幾人か居るだろうから私ひとりが遅刻する訳じゃないだろう、なんて高をくくっていたら、なんとも遅刻したのは私一人だったという(笑)。それで大いに悪目立ちして、説明会の始まっている最中に、新一回生全員の眼を集めに集めた私だったのです。で、彼女、ここではMとします、Mは、わぁ、この人とお友達になろう、その時そう思ったのだそうです。不思議です。それを他の友人に言うと、「ええ、なんで、あの人髪染めてるやん、不良やん」って言われたと(笑)。実はその時私はパーマをあてた長髪で、(高校は地元の公立校でパーマに関して禁止では全然ありませんでした。染めるのは禁止だったかも知れないけれど普通に染めている人何人も居ました・笑)元々色素があまり濃くないうえに髪が傷んで毛先の方は色がすっかり抜けてまるで染めたような色合いになっていたのでした。入ってみて初めて知ったのですが、普通の単科大学だというのに、私立高校から来たお金持ちのお嬢さんがとてもとても多いのには驚くやら閉口するやらだったなか、Mも私と同じ公立高校出身の庶民(笑)で、そういう処は気が合いました。ただ、片道2時間かけてひーふー通学していた私とは違い、四国出身のMは大学から徒歩15分くらいの処に下宿していて、ゆっくり寝られていいなぁ、なんて言っていたりしました。彼女のこの下宿先で、私は、洋服を着替えて、ロックコンサートに行ったりしていました、一旦帰宅している時間がなかったので。大学二年終了時に、私は、必須科目の出席日数が足らず、留年が決定してしまい、留年する位なら辞めて専門学校に行く事を即決してしまいました。後から考えたら、いつも一緒にいて、お昼ご飯も一緒に食べていたMを放りだして随分ひどい事をしたものです。でもMは全く平然としていました。Mは当然のようにきちんと大学を卒業しました。卒業した後でだったか、神戸北野に一緒に遊びに行かない? と、彼女からお誘いを受けて楽しく一日過ごしたりしました。当時はまだ船で、四国に帰る彼女を見送ったら、それからまたずっと後に、「あの時ずっと見送ってくれて嬉しかった」と言われました。私にしたらごくごく普通の事だったので、そんな事でそんなに喜んでくれるなんてと不思議に思いました。それから彼女は小学校の教員免許を自力で取得しました。その際に必要な事の為に大学のある処に行かなければならないから、泊めてくれない? と、或る日突然電話がかかってきました。それは全然構わないけれど、片道2時間かかるよ? うん、全然それも構わない、と。実家は建て直した直後で、新しいお家に初めて泊まりに来てくれる友人となりました。とても嬉しかった。それからは、ほとんど、連絡もあまり取らず、メールアドレスもあまり良く分からず、でも時々、お家で採れる野菜など送って来てくれたりしました。年賀状だけはちゃんと毎年送り、もらい続けていました。そうして彼女は小学校教諭を美事に勤め上げました。不足のない退職金、年金を彼女は自力でつかみとったのです。そうして先年の年賀状に、私は驚くべき一言を見ました。「○△って、やっぱりいいですね」○△は、私が当時傾倒していたロック音楽の中でも、一番好きだったアルバムの名前です。え、えええええ??? 確かに、私は、そのバンドが好きなんだ、とは言っていたと思います、でも、あまりにも一般的なものとはかけ離れているから、例えばカセットを貸すとかそんな事もしませんでした。一番好きなのは○△だとも多分言った覚えはない、何故なら当時○△と×□と、どちらが一番か決めかねる、なんてバカな青春の悩みを抱えていたりしたから。そうして、その年賀状を見る少し前、同じく高校時代からそういった音楽に傾倒していた友人と、「結局やっぱり○△やね、これはもう本当にすごいね」と意気投合していた処だったのです。不思議なこと、って本当にあります。彼女は今も、私とは全然趣味の違う服装をして、本や漫画を読んで、お菓子作りに熱中したりしているのでしょう。そんな中で○△を聴いてくれている。彼女のなかに○△が生きている。それが、どんなに私を喜ばせるか、私が大学に行った事は決して無意味ではなかったと思わせてくれるか、Mに伝える事は決してないけれども、ただただ、Mという人と知り合えた事、その不思議を思うばかりなのです。お誕生日おめでとう、M。今日が良い日でありますように。これからの人生も、佳き日々でありますように。





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