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『“連作・修羅” 外伝5・巴』UP(5th.Nov.2022)
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サイト名:moon in the dusk
管理人名:moon in the dusk(もしくは「宵月」)

Works' Short-Cut
Yoitsuki-Hiyori
7月18日
文月。とても遅くなってしまいました。
「モーツァルトは二楽章」……これ、Xのクラオタ(クラシック・おたく)の間で言われているのを時折拝見しておりました。要するに「モーツァルトは、二楽章こそが素晴らしい」「真のモーツァルトの良さは二楽章にこそ宿る」といった意味なんでしょう。それを、「あぁ、分かるわぁ」と思ってしまえる、年齢を重ねた自分を自分で可笑しく思います。子供の頃からモーツァルトこそ至高、と断じて止まぬ父親の元に育ったものの、中学でブリティッシュ・ロックに目覚め(笑)、まぁそれでもピアノも習っていたし、クラシックを嫌いになったりする事は一切なくむしろ好きではありましたが、そんなロック仲間といつも言うのは「でもモーツァルトってそんなにいい?」でした。なんと少ない仲間の、他二人の父親までもが「クラオタ」で、しかも「モーツァルト・フリーク」だったのです。モーツァルトの曲は総じてコロコロと軽やかに愛らしい、けれど、なぁ、と。なんでだろう。モーツァルトのどこがそんなに良いんだろう。ずっと、謎でした。その謎が解けたのは、これは以前にも書きましたが本当に偶然のなせる業です。或る日突然それは下りてきた、ただそれだけでした。そこにモーツァルトのかなしみがありました。かなしみとよろこびがらせんのように交差していました。他の誰にもない、それは特別なものでした。そうして、そう、そう、言われれば確かにそうなのです。一番目立たなくて、一番閑かで、一番ひっそりと佇んでいる、二楽章。そこに、天衣無縫の、ほんとうにそれは天からゆらゆらと降りて来たのとまごう程の美しさのなかにかなしみを湛える音が、あります。例えばクラリネット協奏曲。例えばピアノ協奏曲23番。ああ、前者は父が本当に好きだったのでしょう、ほんとうによく家でこの曲は鳴っていた。全曲今でも諳んじられます。父は今、天に居てこの曲を聴いているでしょうか。クラリネットが欲しかったんや、と言っていた父。今、存分に奏でているでしょうか。




