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作品『クトゥの歯車─次王』あとがき古代文明が好きです。いやもう、好きというだけで、たいした知識 も何もないのですが。 インカ、マヤ、アステカ……そう云った中南米の独特の文明にもま た、強く惹かれるものがあります。 それらの文明には確かに血なまぐさい一面もあったでしょう。 しかしそれは「悪」なのでしょうか。 そもそも、文明に、「正しい」「誤り」などあるのでしょうか。 本来のインカ等々を征服したのはスペイン人です。でもここでも また、相変わらずそれらはモデルにしか過ぎない為に、より落差を つける為に夏尚肌寒く薄暗い北国をモデルに使用しました。 生まれいずる以前より運命を決せられ、幼い少女の身にありながら そのさだめの中に黙々と生きるより術のない過酷さ。 翻り、恐らくは放蕩の中に意気揚々と日々を暮らして来たであろう 若き伯爵。 彼等も、それぞれの祖国も、どちらを是とも非ともしないように、 書いたつもりです。そう書けていればと願うばかりですが。 「つぎおう」という言葉は、プロットを頭の中に組み立てている途 中にふと湧いて出たもので、なんだかとても気に入ったので、題名 にまでつけてしまいました。 「誰も憎まない」と呟く少女の瞳に、若き伯爵は何を見たでしょう。 翻弄の中にありながら、自ら道を切り開いた少女の、これより先の、 まだ見ぬばかりの人生に、どうぞひとひらのしあわせのありますよ うにと、まるで懇願するかのように、書いた、一編です。 |
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