タソガレゲンソウキ

-presented by Ms. Tokiwa-

小真珠 この詩は「風の吹く散歩道」のときわさまより賜りました
「風の吹く散歩道」さまへはこちらより、是非ご訪問下さい
小真珠

 

夕暮が瓦屋根に濃い翳を付けた

彼が消えたのは遥か前
だから、最早
人では無いと知っていたのに

冷た過ぎる感情を湛えた目
何故なの
いつかの紺青の絣も今は見る影もなく
あの柔らかい手触りは何処に行ったのか
日暮を陽炎を一緒に見つめた
小春の様な眼差しは
一体何処へ消えたのか

少女は立ち止まり振り仰ぎ
彼の心さえも変わってしまったことを知る
嘆きはその角の様に鋭く
彼女を突き刺す

今や貴方はこんな色
眼に映るのは底無しの夜
草陰の白百合が惑わせるのは
強い香に痴れた、「何か」



簪がほろりと髪から解けて
ほおずきのような紅の少女




-end-



ときわさま、素敵な詩をありがとうございました!


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