作品『前奏曲』あとがき



生まれて初めて書いた、いわゆるSFもどきです。
中学生位から、硬派のSFが好きでした。科学的裏付けは、もう、 超弩級の理系音痴故、さっぱりなのですが、そこに描かれている、 人の、物の、存在の儚さ、あはれさ、無常さ、そしてそれでも尚 立ち向かう人の心、そういったものに、いつも心惹かれたのです。 同じく、萩尾望都等女性漫画家の描く、哀感溢れるSF短編が、 本当に大好きでした。
話変わり、「I dig a hole」という曲名がある事を知り、曲自体は、 聴きかじった事はあるかも知れない、という程度なのですが、 また何と凄い題名を付けるもんだな、と……というのも、 「穴を掘る」と言って、私にとって、一番に思いつくのは、ナチス が収容所で強制した労働のひとつであったからです。謂わば辛い 労働の象徴とでも云うか……。
そんな時、この、イラストに出会いました。まるで、何かの穴の ような、何とも美しく、訴えかける力のある、イラストだと思い ました。そして、その題名が「創世記」。がつん!と、食らいま した。そして、朧気に、こういう、抽象的な世界が、私の頭の中 に、巣喰ったのでした。
「地にくちづけをする」というのは、BGMとして使用頻度の非常に 高い、Simple Minds に「Kiss the Ground」という曲名があり、 こちらは良く聴いていますが、どういう詩の内容なのかは 知りません。訳してないので。ただ、こちらも、自分には、大変に 衝撃的な言葉であったのです。
これら三つが織り混ざり、折り重なって、出来た、作品です。 最初に思いついた題名は『失楽園』。しかし、ちょっとイメージが 違う。『前奏曲』という題名は、かなり気に入っています。 訳も分からないでしょうし、SFとも言えないと思います。サイト としても異色の内容で、大変individualなものだと思います。 けれども着想より一年間、ずっと書けなかった作品。 やっと書けました。とても、嬉しいです。





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