作品『Lilith』あとがき



ファンタジーで「リリス」と云えば、それはもう当然のようにジョー ジ・マクドナルドのそれを連想されるでしょうが、これの出典は実は 全く違っていて、英国のプログレッシヴ・ロック・バンド、Genesis の曲名「Lilywhite Lilith」から取ったものだったりします。そのま まの言葉が作品中にも使われていてとんでもないです(笑)。

これも『LOU』と同じく、どちらかと云えば英語脳で、そうして、芯か ら音楽に浸り音楽漬けだった学生時代の頃に書いたものです。

それだけに、差別的な意味合いでは全くなく、「聾」というのはどん なに酷な世界だろう・・・と想像した事から物語は始まりました。

そうして次に思った事。それは、
「本当に美しい音楽」「真理として美しい音楽」がこの世に存在する ならば、それはきっと、とても単純な音律の繰り返しに違いない、と いう事でした。アインシュタインの有名な言葉を知ったのはずっと後 の事で、本当に本当に驚いたものです。

そうしてまた、そんな音楽が存在するならば、それはきっと、天国に も、地獄にも通じ、神にも、悪魔にも愛されるものなのではとも思っ たのです。

物語の後半、リリスの生涯を語る部分は後から付け足したもので、今 もあの部分の必要性には疑問を感じてもいます。

何かを語りたい、何かを伝えたい…そんな気持ちではなく、ただただ、 音楽への愛情、憧憬から生まれた、小品のように、自分には思えます。





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