作品『硝子の中の桜色』あとがき



この物語は、いつも大変お世話になっている検索交流サイト「読み 物.net」さんの「春の企画」に参加させていただく為に書いた掌編 です。

平均して2ヶ月に1作書ければ良い方、の遅筆も遅筆な私が、大変 な難産であった前作『クトゥの歯車─次王』を上げて放心状態の時 に、その企画のお知らせを知り、「あぁもう絶対無理!」と諦観の 極致にありながらも、その「企画」が、沢山のお題のなかから、ひ とつ以上を題名なり文章なりに組み込めば良い、という非常に懐の 深いものであった訳で、その山のようにあるお題をつらつらと眺め ている内に……奇跡が起こったのですね。降りて来てくれたのです。 何の構想もない白紙状態から、たった五日間で次作を書き上げたな んて、今でも信じられない思いです。

使わせていただいたお題は「桜色」と「高い塔」でした。題名は、 本来違うものを使う予定だったのですが、敬意と感謝を込めて、お 題にあった「桜色」を入れたものを使用させていただきました。

こういう事を書くのは問題があるかも知れませんが、あまりにあり がちなトパじいの冒険譚は、世に溢れかえる「ファンタジー」への、 ちょっとした皮肉を込めたつもりもあったりします。

この物語は、自サイトの中では文体も、内容も、異質なもの、の位 置づけがなされるかも知れません。でも個人的にはこういう文章も、 内容も、とてもお気に入りです。こういうものも、もっともっと書 いてゆけたら良いなあ、とも思っています。

ちなみに硝子の中のモノ、自分のなかでは、ちゃんとあるんですよ ね、これだというものが。でも、書かなくて正解だったと思ってい ます。知りたいですか? ヒントは「た」で始まるもの。 ね、なあんだ、って、聞かない方が良かったと思うでしょう?(笑)





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